DIC川村記念美術館 ヴォルス展→ Feliz珈琲
DIC川村記念美術館で開催中の展示「ヴォルスー路上から宇宙へ」を見てから、勝田台駅近くのFeliz珈琲へ行ってきました。
千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館。DICというインク製造会社が所有するコレクションを展示するために、研究所の敷地内に建設したそうです。周囲は高原リゾートのような雰囲気。
チケット売り場から森の中へと続くような小道を進むと、ぽっかりと開けた洋風の庭園が見えてきます。池のほとりにはカモたちがのんびり休憩しており、のどかな光景がひろがっていました。
池沿いに散策路を歩いていくと、立派な藤棚が見えてきます。ちょっとだけ花の名残がありました。見ごろの時期はきっと綺麗なんでしょうね。そこから少し行くと広場があり、ヘンリー・ムーアの彫刻がポツンと設置されています。自然を背景に奇妙な存在感を醸していますが、個人的には巨大な脊椎動物の神経胚のように見えました。
ここの散策路は藤の他に桜やモミジなど、季節ごとにいろんな植物が楽しめそうです。道沿いのアジサイもつぼみをたくさんつけていました。
軽く散歩を終えたらいよいよ美術館へ。エントランス付近にあるフランク・ステラの大迫力な作品から、館内ロビーの静謐な雰囲気が好対照です。
「ヴォルスー路上から宇宙へ」展 概要
(DIC川村記念美術館HPより引用 http://kawamura-museum.dic.co.jp/index.html)
ヴォルス《裸体の花》1949/62年 サルトル『食糧』(1949年刊)の挿絵
ドライポイント、紙 12.3×10.0 cm DIC川村記念美術館ヴォルス(1913-1951)は、音楽と詩に親しみ、独学で絵を描くようになった稀有な芸術家です。 第一次大戦後のドイツに育ち、フランスに移り住み、1930年代にまず写真家として認められました。まぶたを閉じた人物、調理前の生々しい食材などにカメラを向け、強い凝視力の写真作品を残しています。
10代から水彩画、ドローイングを制作していたヴォルスは、ドイツとフランスの戦争が始まると収容所を転々とせざるをえず、そこで描くことに没頭しました。目を閉じているうちにイメージをつかんだといわれる、蜘蛛の糸のような描線と澄んだ色彩は、ヴォルス独自の魅力を放っています。
さらに油彩画を始め、慣例にとらわれない描法を開いたのは戦後のことでした。ジャン=ポール・サルトル、ジャン・ポーランら文学者や詩人たちに認められ、挿絵の依頼を受けて彼らの著書に銅版画を寄せたのもつかのま、ヴォルスはわずか38歳で早すぎる死を迎えています。
貧窮のうちに没したヴォルスは、死の直後から「アンフォルメル」動向の先駆として注目され、評価を受けます。日本でも1950年代にアンフォルメルの作家として紹介され、1964年に東京・南画廊で初めてのヴォルスの個展が開かれています。その際、瀧口修造らが文章を寄せたカタログと画集が出版され、ヴォルスの作品が多くの人の心をつかみました。
近年は展覧の機会が少ないヴォルスですが、DIC川村記念美術館では彼の油彩、水彩、銅版画にわたる充実したコレクションを所蔵しています。本展はこれらを中心に日本における受容を反映しながら、路上の石や虫を見ながら遠く宇宙までも見通した深い作品世界を紹介し、ヴォルスの再評価の契機といたします。
概要文にあるアンフォルメルとは、第二次世界大戦後にフランスを中心にひろがった抽象表現美術の流れのことです。「抽象表現主義とどう違うの?」と思われる方もいるかもしれませんが、アンフォルメルがフランス中心に始まった戦後美術の流れなのに対し、抽象表現主義はアメリカ中心に始まった流れとなります。同時期に誕生した双子のような関係ですね。
ヴォルスの作品を見ていて思ったのが、小さい作品がとても似合うということ。手に収まるくらいの作品が多く展示されています。そこに描かれた細密な線の束を見ていると、小さな世界から繋がる広い世界を顕微鏡で覗いているような、そんな不思議な感覚をおぼえました。写真や油絵も展示されていましたが、個人的にはヴォルスの繊細な線が楽しめる水彩や版画が好みです。
川村記念美術館に行ったなら、やはりロスコやトゥオンブリーの部屋など工夫がなされた常設展示も見逃せません。入館すると常設展から始まるのも、もしかしたら美術館の自信の表れでしょうか。個人的にコーネルのコレクションが見られたのも嬉しいポイントでした。
美術館のあとは車で30分くらい走り、勝田台駅近くのFeliz珈琲へ。コーヒーにこだわりある喫茶店とのレビューもあり、行ってみることにしました。
オーダーしたのは「本日のコーヒー」。この日の豆の銘柄はコンゴのシティローストで、「しっかりとしたボディ感がありながらすっきりしたのど越し」が特徴とのこと。確かに雑味がなくクリアな味でとても飲みやすかったです。ちなみに1回の注文で2杯目までいただくことができるとのこと。しかも2杯目の銘柄を変えることができるそうなので、飲み比べを楽しむこともできちゃいますね。
DIC川村記念美術館
「ヴォルス──路上から宇宙へ」展
会期:2017年4月1日~7月2日
会場:DIC川村記念美術館
住所:千葉県佐倉市坂戸631
電話番号:0120-498-130
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月
入館料:一般 1300円 / 学生・65歳以上 1100円 / 小中学生 600円
URL:http://kawamura-museum.dic.co.jp/exhibition/
Feliz珈琲