休日美術館マップ

休日に行く美術館とカフェ

原美術館 Elizabeth Peyton展→KAIDO books&coffee

はじめまして。ブログ「休日美術館マップ」を始めました。美術館やカフェで過ごすのが好きな方に、このブログが少しでも参考になれば幸いです。

 

今回は原美術館現代アート展を見たあと、北品川のKAIDO books&coffeeでのんびり読書というコースをご紹介いたします。

 

f:id:bijutsukan_map:20170504215943j:plain

f:id:bijutsukan_map:20170504230241j:plain

f:id:bijutsukan_map:20170504230304j:plain

品川にある現代アート専門の原美術館は、元私邸のおしゃれな建物と庭も魅力的な場所。都心にありながらゆったりとした時間が流れています。

 

この日やってた企画展は、NY在住のエリザベス・ペイトンの個展、「Still life 静/生」展です。

 

エリザベス・ペイトン

アメリカの女性作家、エリザベス ペイトンは、1990年代初頭より絵画や素描、版画を中心に制作してきました。中でも肖像画が特に知られており、描く対象は、彼女の親しい友人から、歴史上の人物や現代のカルチャーアイコンにまで及んでいます。また、アーティストや小説家、ミュージシャンや役者なども常に描写の対象となってきました。近年では、街の風景や静物、オペラからもインスピレーションを得て、肖像画と真摯に向き合いながらその概念を大きく広げています。

Art it http://www.art-it.asia/u/HaraMuseum/EfqidXFuato43SHDrU1Y/ より抜粋)

 

今回の展示内容は油絵や水彩などで描かれた肖像画がメインとなっており、テーマとしてはよくある感じ。かと言って作品が平凡というわけではないのが、ペイトンという画家の不思議な魅力なのだと思います。感覚的で自由な筆致と、透明感のある色彩。そしてモデルとなった人物たちへの親密な気持ちが作品を覆っていて、ペイトンの人間性を表しているようで素敵でした。

 

見どころはやはり「Kurt Sleeping」(眠るカート)でしょう。ニルヴァーナのヴォーカル、カート・コバーン(1967-1994)の眠っている姿が描かれています。

 

この作品について、原美術館の解説には「無防備な姿のカートを描写する一方で、眠りと死の隠喩的な類似を想起させています」とあります。しかし実際見てみると、描かれている人物は拍子抜けするほどのどかで、最初はただの居眠りしている美青年といった感じに見えました。ワイルドに無精ひげを生やした、退廃的な雰囲気のカートとは一見重なりません。

 

しかしじっくり見ていると、その今にも壊れてしまいそうな繊細な白い肌の顔と、それに比べてラフに描かれた手の関係に、かすかに危うさが感じられます。

 

のどかな青年としての居眠り姿は、神格化された「孤高の天才」という世間のレッテルから距離をおいた作者の眼差しと、白い顔の危うさはそれでもやはり自殺を遂げてしまったカートに対する悲しみを、率直に表しているのかもしれません。

 

f:id:bijutsukan_map:20170504234641j:plain

f:id:bijutsukan_map:20170504234649j:plain

f:id:bijutsukan_map:20170504234701j:plain

展示を見終わったら、次はコーヒータイム。KAIDO books&coffeeがある北品川方面へ向かいました。

 

f:id:bijutsukan_map:20170504235017j:plain

f:id:bijutsukan_map:20170504235026j:plain

途中クロモンカフェを発見。こちらも個性的で行ってみたいカフェの一つです。入口前にいる亀がかわいい。

 

f:id:bijutsukan_map:20170504235231j:plain

こちらが今回行ってきたKAIDO books&coffee。入口からたくさんの本が見えて、一瞬本屋さんかな?と思ってしまいます。これらの本は全てスタッフの方の蔵書だそうで、4万冊の中から1万5千冊をお店に置いているそうです。すごいですね。

 

f:id:bijutsukan_map:20170504235417j:plain

f:id:bijutsukan_map:20170504235423j:plain

2階にはたくさんの本棚と、小学校で使っていたような懐かしい椅子。両者の対比が面白い空間になっています。

 

f:id:bijutsukan_map:20170504235545j:plain

本屋さん並みの蔵書から選んだのは、「不動産屋の耳より話・稲葉なおと著」。不動産業界に対して、「だまされたらどうしよう」みたいな漠然とした不安は少なからず誰でもあると思うのですが、そんな不安の対応策を教えてくれるような内容だったように思います。他には旅行や地理系の本が多くありました。

 

f:id:bijutsukan_map:20170504235931j:plain

肝心のコーヒーがこちら。スペシャルティコーヒー豆を使った本格派。グァテマラ、ブラジル、エチオピアの中から豆を選ぶことができました。今回はグァテマラを注文。

 

f:id:bijutsukan_map:20170505000408j:plain

帰りは品川駅方面へ。のっぽな高層ビル群に巨大な壁のような都営アパートが、不思議なコントラストを生んでます。

 

f:id:bijutsukan_map:20170505000554j:plain

美術館の多すぎない展示内容と、のんびりくつろげる本屋さんのようなカフェで、午後からのお出かけにぴったりのコースでした。

 

展覧会名 「エリザベス ペイトン:Still life 静/生」
会期 2017年1月21日[土] ― 5月7日[日]  開館日数 92日
主催 原美術館、Hara Museum Fund
会場 原美術館 東京都品川区北品川4-7-25
協力 一色與志子
特別協力 Sadie Coles HQ, London; Gladstone Gallery, New York and Brussels; neugerriemschneider, Berlin
開館時間 11:00 am - 5:00 pm(祝日にあたる5月3日を除く水曜は8:00 pmまで/入館は閉館時刻の30分前まで)
休館日 月曜日(祝日にあたる3月20日は開館)、3月21日
入館料 一般1,100円、大高生700円、小中生500円/原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生の入館無料/20名以上の団体は1人100円引
交通案内 JR「品川駅」高輪口より徒歩15分/タクシー5分/都営バス「反96」系統「御殿山」停留所下車、徒歩3分/京急線北品川駅」より徒歩8分
*日曜・祝日には当館学芸員によるギャラリーガイドを実施(2:30 pmより30分程度)

http://www.haramuseum.or.jp

 

KAIDO books&coffee

住所 東京都 品川区 北品川2-3-7
営業時間 10:30〜22:00(火曜定休、土日は19:00まで)